スマートフォンを使っていると今居る場所など位置情報が他の人にバレてしまうのですか?

パソコン・インターネットお悩み相談室

第53回 Q.スマートフォンを使っていると今居る場所など位置情報が他の人にバレてしまうのですか?

スマートフォンで撮った写真には撮影場所が記録されているので、SNSなどにアップしたら撮影した場所がわかってしまう、だから自宅で撮った写真は注意、と聞いたことがあります。大丈夫でしょうか?

アプリを起動すると「位置情報の利用を許可しますか?」と聞かれることがありますが許可したらいつどこにいるかがバレてしまうのでしょうか?

プライバシーに関わるものなので位置情報はオフにした方がいいのか、オンにしておいても構わないのか教えてください。

A.位置情報をオフにするとスマートフォンの便利さが大きく損なわれてしまいます。

そもそも、スマートフォンは常にGPS衛星やWi-Fiアクセスポイントや携帯電話の基地局情報を組み合わせて、現在地を把握するように作られています。その方ができることが圧倒的に増えて便利になるからです。

それを嫌う人、それでは困る人のためにオフにすることもできます。

iPhoneの「位置情報サービス」設定画面です。位置情報を完全にオフにすることもできますし、アプリ毎に設定することもできます。

どっちにすべきでしょう。

ただ、位置情報はあまりに多くのケースで使われるので一概にはいえません。悪意を持った人に利用されるのはもちろんイヤですが、その可能性があるからといってオフにして利便性を損なうのももったいない話。

そこで、位置情報はどう使われているか、どういう点に注意すればいいかを見ていきましょう。

位置情報はこんなことに使われています

大ざっぱにいうと、位置情報は4つの使い方をされます。

現在地に応じた情報を出すために使う

たとえば「コンビニ」で検索すると「現在地近く」のコンビニがどこか教えてくれたり、「天気予報」を見ると「現在地近く」の天気を自動的に表示してくれたりするわけですね。

ここでは「笹塚 ランチ」とつい入力してしまいましたが、「現在の位置情報」を許可すれば「ランチ」と検索するだけで自動的に現在地近くで検索してくれます。

もし、位置情報が使われていないと、天気予報を見るたびにどこの天気を見たいのか都道府県から選択しなくちゃいけないので、手間がかかってしょうがありません。

乗換案内アプリを使うとき、現在地の最寄り駅をさっと候補に出してくれたら時間短縮になりますよね。

ただ、現在地に応じた広告を出すために使う(銀座に行ったら銀座のお店の広告が表示されるなど)、となると便利に感じる人と不快に感じる人の両方がいるでしょう。

今はアプリを起動するときやインストールするとき、それが「位置情報」を使うかわかるようになっています。

「駅すぱあと」(路線検索アプリ)をはじめて起動したところ。このように位置情報の利用を許可するかどうかの選択肢が出てきます。許可しておくと、現在地の最寄り駅を提示してくれるなど便利ですが、許可しなくても使うことはできます。

「このアプリで位置情報は不要だよな」と思ったら拒否しても問題有りません。

ビッグデータとして使う

GoogleやYahoo!やAppleなどなどの会社はスマートフォンの無数の位置情報を集め、データとして利用しています。

たとえばYahoo!の地図には「混雑状況」機能があります。どうやってそこに人がたくさんいるかを判断しているかというと、スマートフォンの位置情報があるからです(具体的にはわかりませんが、Yahoo!のサービスをスマートフォンで使った人の位置情報を集めて実現していると思われます)。

左の写真は、ある日の18時20分の東京駅周辺の混雑の様子(人の多さ)。右の写真は、その3時間前。15時20分頃は大手町が赤い(人が多い)のですが、18時20分になると色が薄くなっている(人が少し減った)ことから、大手町で働いている人が帰宅をはじめたからと予想できます。

勝手に使われるのはイヤだという人もいますが、「その時間にその場所に誰かがいる」という以上の情報はなく、それだけでは個人の特定はできませんし、個人情報保護法もありますから、ことさら神経質にならなくてよいという考え方もあります。

どうしても気になる人は、アプリの規約のプライバシーに関する項目(そこに、取得した位置情報をどう扱うかも書いてあります)をチェックするといいでしょう。

友人に場所を知らせるのに使う

今どこにいるかを友人に知らせるとき、言葉で説明するより位置情報を直接送った方が便利ですよね。

LINEやFacebookのメッセンジャーには位置情報をメッセージする機能があります(相手には地図で表示されます)。

2台の車ででかけるとき互いの位置を把握するなど便利なシーンはいっぱいあります。遅刻してしまったとき、現在地を他のメンバーに知らせれば、待っている人もイライラしなくてすみますよね。

以下の例はFacebookメッセンジャーの位置共有機能を使って互いの場所を把握したときのもの。

1時間たつと自動的に共有が停止するという安全弁がついてますから、切り忘れて今どこにいるかダダモレということはありません。その辺はサービスを提供する側も気を使っています。

参加者の家が離れていたため、2台の車にそれぞれ分乗して八王子インター付近で合流という約束で出発した朝。互いの車で位置情報を共有したので相手が今どこにいるかがわかって便利。無事八王子インターで合流できました。

SNSなどに写真やコメントをアップするときも、旅行先だと「今どこにいる」かも知らせたくなるかもしれません。

たとえばインスタグラムの場合、写真をアップするとき「位置情報を追加」できます。元写真に撮影時の位置情報がついている場合はその情報を元に、位置情報の候補が作られます。

写真を指定し、「位置情報を追加」すると撮影場所を参考に候補がリストアップされます。
撮影場所を指定するとこのように撮影場所付で公開されます。

でも間違って、知らせたくない人に居場所を知らせてしまったり、自宅がわかるような情報を載せてしまうのはイヤですよね。そこは重要なので、このあとで述べましょう。

自分の行動記録として使う

スマートフォンが位置情報の履歴を残してくれると、自分の行動記録としても使えます。

「ライフログ」と呼ばれるジャンルのアプリは毎日自動的におおまかな移動経路を記録してくれます。

たとえば、Movesというアプリは自動的に毎日の行動を以下のように記録してくれますから、その日にどこへ行ったのかをあとから振り返れます。

スマートフォンの位置情報機能を使い、毎日自動的におおまかな行動記録を取ってくれるアプリです。
● Moves
Moves

Movesはあなたの日々の生活とエクササイズを自動でトラッキングします。使い方は簡単。携帯電話をポケットやバッグに入れておくだけです。 機能 • 自動トラッキング: 毎日のウォーキング、サイクリング、ランニングを記録します。

Get it on Google Play

また、スマートフォンは写真を撮るたびに撮影場所を写真と一緒に記録してくれるので、あとから「あそこにいったのはいつだったっけ」と思ったら地図から写真を探せば、それが何年何月何日なのかすぐわかります。また、あそこで撮った写真を見たい、と思ったとき地図から探すことができればすぐですよね。

iPhoneの「写真」アプリが持っている「撮影地」アルバムです。地図上にそこで撮った写真がこのように置かれますから、地図から写真を探せて非常に便利です。

すごく便利な機能ですが、写真の撮影場所は「写真ファイル」に直接書き込まれていますから、その写真を誰かに送ると、受け取った人にも撮影場所が分かってしまうということになります。それが危険なので写真の位置情報はオフにするべき、という人もいます。

写真の位置情報は危険?

自宅の場所を不用意に知られたくない、というのは誰しも思うことでしょう。

自宅で写真を撮ったら、その位置情報が記録されてしまう、となるとペットの写真を気軽に共有することも避けたくなります。

では実際に写真をSNSにアップしたら撮影場所が知られてしまうのでしょうか?
調べてみました。

調べ方は簡単。位置情報がついた写真をSNSやメッセージにアップします。そしてSNSやメッセージに表示された写真を「保存」します。保存した写真に位置情報がついているかいないか。

実は、Twitter、LINE、Facebook、Instagramのメジャーなサービス4つで調べてみましたが、どれも「位置情報を削除した写真が公開される」ようになっています。

元の写真と、いったんFacebookに公開した写真をあらたにダウンロードしたものを比べてみましょう。
写真情報を見ることができるアプリを使って比べています。

元画像には撮影情報や撮影場所が記録されています。(左)
Facebookにアップロードしました。(中)
アップロードした写真をダウンロードして調べてみると、画像サイズは少し小さくなり、位置情報や撮影情報は削除されているのがわかります。(右)

つまり、送った写真がそのまま共有されるのではなく、SNS側でサイズを調整したり位置情報などのデータを消した写真が共有されるのですね。

ですから、メジャーなSNSを使う限り、写真の位置情報を気にする必要はありません。安心してください。

逆に「メール」に写真を添付する場合は、元データがそのまま送られますから、位置情報も残ります

自宅など撮影場所を知られたくない写真をメールするときは、写真の位置情報を削除するアプリを仲介させるのが安全です。

写真の場合、位置情報以上に気をつけねばならないのが写真の背景です。

いくら写真の位置情報を消したとしても「自宅の前で撮った写真に場所を特定できるものが写って」いては元も子もありません。

普通の人はそんな目で写真を見たりしませんが、何らかの理由であなたの自宅の場所を知ろうとする人が出てくるかもしれません。

たとえば下の写真、一見、どこで撮ったかわかりませんが、よく見ると左端に電柱が写っており、そこに「西恋ヶ窪一丁目」と書いてありますね。

一見、どこだかわからない写真ですが左上に電柱の住所表示がうつりこんでます。

あとは、Googleストリートビューでそのあたりを片っ端から調べれば、同じような風景が見つかり、場所が特定できてしまいます。

ここはわたしの自宅近くでも写っている彼女の自宅近くでもありませんが、自宅前で撮影、とコメントがついてこの写真がアップされていれば、その気になれば具体的な場所がわかるというわけです。

「この人の自宅を調べよう」と思う人は普通はいませんが、今の時代、何かの拍子で狙われる(それが誤った情報に基づくものであったとしても)ことがなきにしもあらず。

撮影場所を内緒にしたいときは位置情報より、写真そのものが語る情報に気をつけるべきでしょう。1枚では特定できなくても、いろんな角度の写真を何枚か共有していればそれらを組み合わせてだいたいの場所がわかるかもしれません。

「自宅の窓から撮った風景」を公開するときも気をつけましょう。風景に場所を特定するヒントがあれば、だいたいの場所を絞り込むのは容易です。ランドマークとなる建物や鉄道が写っていたら要注意。複数の写真やSNSでの発言からだいたいの場所を特定できれば、あとはGoogleストリートビューで自宅や勤務先がわかってしまうかもしれません。 

気をつけましょう。

(※本記事の内容は2018年2月8日時点の情報です)

荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。