クラウドって結局なに? 使っても安全なの?

パソコン・インターネットお悩み相談室

第52回 Q.クラウドって結局なに?使っても安全なの?

クラウドという言葉をよく聞きますが、実は、何度聞いてもよくわかりません。インターネット上にいろんなデータを送ったり保管したりするようですが、データを失ったりしないのか盗まれたりしないのか不安です。

クラウドって一体何なのでしょう?
よくわからないものに大事なデータを預けても大丈夫でしょうか。

A.わかりやすいように具体例を挙げてみましょう

実はわたしもはじめて「クラウド・コンピューティング」という言葉が出てきたとき、何だろうと思ってあれこれ調べちゃいました。ピンと来ればすぐ納得できるのですが、新しい言葉なのでそれまでがちょっと大変。

例を挙げた方がわかりやすいかと思います。

「クラウド」はインターネット経由で使う様々なサービス

「クラウド」は英単語だと「cloud」。日本語だと「雲」のことです。曇天のことを「cloudy」といいますが、語源は同じですね。この場合は「雲にたとえた」というレベルの話なので深く考えなくていいと思います。

もともとは企業向けのサービスを示す言葉でした。

今はIT化が進んで、様々な業務をコンピュータを使って行っていますが、本格的に導入するには業務のためのコンピュータを自前で用意し、必要なデータを自前で管理し、セキュリティも自前で行い、と、すごくコストがかかります。特に維持管理が大変です。

そこで、コンピュータで行う処理やデータの管理をインターネット上にある専門の会社のコンピュータに任せる、というサービスがはじまりました。

そうすれば、本来の業務に集中できます。
しかもサービスを行うのは専門の会社ですから、技術的にセキュリティ的にも安心できます。
そういうインターネット経由で行われる様々なコンピューティングサービスの総称を「クラウド」と呼びました。

インターネット上にある複雑な処理をいろいろと良きに計らってくれるサービス、的なニュアンスで捉えちゃっていいかと思います。

やがて、個人向けのクラウドサービスがはじまり、いつの間にか当たり前の存在になっていき、クラウドという言葉が定着していったわけです。

個人向けのクラウドサービスいろいろ

では、個人向けのクラウドサービスにはどんなものがあるか、具体的に例を挙げて見ていきましょう。

個人向けのクラウドサービスいろいろ

昔の電子メールは、インターネット上のメールサーバーに届いたメールを、パソコン上のメールアプリからアクセスして自分のパソコンに転送して閲覧する、という使い方が主でした。そして、メールサーバーに届いたメールは、定期的に削除してました。つまり最終的にメールは自分のパソコン上にだけ残るわけです。

対して、今の電子メールは「クラウド化」しています。
メールアプリでメールを受け取っても、メールサーバー上にはそのまま残っています。

メールソフトを使わなくても、いつでもWebブラウザ上からメールを読むことができますし、メールは常にクラウド上に残っていますから別のパソコンやスマートフォンからでもメールにアクセスできます。

GmailをWebブラウザで開いたところ。いつでもブラウザで見られます。
同じメールをスマートフォン用のGmailアプリで開いたところ。

このように受け取ったメールは常にクラウド上にあるので、パソコンが壊れても失われませんし、別のパソコンからアクセスしても(もちろんIDやパスワードなどの認証は必要ですが)スマートフォンからアクセスしても読めます。

GoogleのGmailやアップルのiCloudメール(iPhoneユーザーなら使っているはず)がそうですし、Webメールと呼ばれるものはたいていそれです。

2:クラウドストレージ

今もっとも使われているクラウドサービスが「クラウドストレージ」でしょう。「オンラインストレージ」ともいいます。

クラウド上のストレージ。つまり、インターネット上にファイルを保管してくれるサービスで、パソコン上のストレージと同じように使えるけど、実際に保存されるのはネット上のストレージ、というのがポイント。

簡単にいえば、いつでもファイルを出し入れできる貸金庫というか、トランクルームというか、そんな感じでしょうか。

ポピュラーなところで、Google社が提供する「Googleドライブ」で説明してみましょう。
GoogleドライブはGoogleアカウントを持っていれば誰でも15GBまで無料で使えます。

まずWebブラウザで「google.drive.com」にアクセスします。

「Googleドライブにアクセス」からログインすると、Googleドライブの画面になります。
あとはファイルをドラッグ&ドロップで追加するだけ。

最初はまっさらですが

ファイルをこのようにドラッグ&ドロップで追加すると

Googleドライブに転送され、保存されます。

すると、Googleがインターネット上に持っているデータセンターの中の、自分専用の領域(ストレージ)にファイルが保存されます。

メリットは、Googleドライブ上に置いておけば、スマートフォンからでも(Gooleドライブというアプリがあります)、他のパソコンからでもアクセスできること。指定した人にファイルを共有できますから、他の人にファイルを渡すときも便利です。

これだけだと、単に「Webブラウザを使ってクラウド(インターネット上)にファイルを保存できる」だけなのでメリットはあまり感じないかもしれません。

もうひとつ、Googleドライブを使う方法があります。「Googleバックアップと同期」というパソコン用のアプリを使う方法です。

これを使うと、パソコン上のフォルダとGoogleドライブが「同期」されます。

「Googleバックアップと同期」を実行すると、自動的にパソコン上へ「Googleドライブ」という名のフォルダが作られ、そのフォルダの内容とGoogleドライブの内容が完全に同期されるようになります。

パソコン上の「Googleドライブ」フォルダとクラウドの「Googleドライブ」の中身が常に一致している、ということは、パソコン上にファイルを保存すれば自動的にクラウド上に「バックアップを作ってくれる」わけです。その逆も可。

逆に他のパソコンやスマートフォンからGoogleドライブ上のファイルを編集したり、新たにファイルを追加すれば、自動的に自分のパソコン上のファイルも更新されます。

パソコン上のGoogleドライブフォルダとWebブラウザで見たGoogleドライブの内容が一致しています。

これは便利。Webブラウザをいちいち起動しなくても、パソコン上の「Googleドライブ」フォルダにファイルを保存するだけで、自動的にクラウド上の「Googleドライブ」にも保存されるわけですから。

ここでは「Googleドライブ」を例に説明しましたが、マイクロソフトは「One Drive」、アップルは「iCloud Drive」、アマゾンは「Amazon Drive」と各社が同様のサービスを提供していますし、クラウドストレージ専門の会社によるサービスもあります。

3:オフィスアプリ

ワープロ(WORDとかですね)やスプレッドシート(EXCELとかですね)といった仕事で使うアプリもクラウド化が進んでいるジャンルです。

今まではアプリを購入し(あるいはパソコンにプリインストールされている)、それを使って文書を作成して自分のパソコンに保存する、のが一般的でした。

今は、クラウドサービスがあります。
Webブラウザで使うワープロやスプレッドシートです。

有名なのがGoogleドキュメントとGoogleスプレッドシート。Google社が無料で提供するサービスです。

スプレッドシートの場合、Webブラウザ上で表を作成し、Googleドライブに保存します。
編集する都度、自動的に保存されるので保存し忘れや作業中にトラブルがあっても消えちゃうことはありません。

作成した文書を他の人と簡単に共有できます(もちろん指定した人にだけですし、一般公開もできます)し、共同作業にも向いています(複数の人数でイベントを行うとき、互いに修正しながら案内をつくるとか)。

パソコンのみならずスマートフォンやタブレットからでも使えます。

GoogleスプレッドシートをWebブラウザで開いたところ。ブラウザ上で動作し、Googleドライブに保存されます。

マイクロソフトのオフィスも最新版のOffice 365ではクラウドに対応。アプリからでもWebブラウザからでもスマートフォンやタブレットからでも使えるようになりました。今までに作成したWORDやEXCELの文書もOneDrive経由でどこでも開けるのは便利です。

4:その他のクラウドサービス

個人向けクラウドサービスは他にもいくつもあります。

写真用のクラウドサービスは撮影した写真をクラウド上にアップロードし、写真を共有したりオンラインで編集したりできますし、自動的に写真を解析して分類したり整理したりしてくれます。

プロ向けの写真アプリで有名なアドビ社も、クラウドに写真を保存してパソコンやタブレットで開いて編集するクラウド機能に力を入れています。

クラウドメモサービスもあります。Evernote社のEvernoteはその老舗で、メモや文書、写真、Webページなどをどんどん登録できるクラウド上のメモ帳で、情報を整理するのに便利です。

クラウド名刺サービスもあります。名詞をスキャンしたりスマホで撮影して登録するだけで、クラウド上に自動的に住所録を作ってくれます。自分で名刺管理を行うよりずっと簡単です。

クラウドの経理サービスも増えてきました。確定申告が必要な自営業や、中小企業向け。経理データを入力すると自動的に帳簿を作成してくれます。クレジットカード会社や銀行のデータと連動して自動的に出納帳を作成する機能もあります。

まとめましょう。

クラウドサービスは
クラウド上(つまりインターネット上のストレージ)にデータを保管し、それを使った様々な機能を提供してくれるサービスの総称
となります。

でも、お高いんでしょ?

ではクラウドサービスを使うとき、いくらくらいかかるのでしょう。

クラウドストレージの場合、容量が少ないときは「無料」です。Googleドライブですと15GBまで、アップルのiCloudドライブなら5GBまで無料で使えます。
無料はお試し版と考え、ちゃんと使うなら容量を増やした有料コースがいいでしょう。

マイクロソフトのOneDriveは、Office 365のサブスクリプション(月々使用料を支払う方法)ユーザーなら1TBまで無料です。1TBあれば個人利用なら十分。バックアップにも使えます。
それで足りない場合は、別途有料プランが用意されています。
個人ユーザーなら月々数百円くらいで十分使えるでしょう。

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ストレージ以外のクラウドサービスになりますと、料金はさまざま。無料のものもあれば、無料だと機能制限があるものなどサービスによって異なるので調べてみましょう。

個人向けサービスなら有料でも月数百円から数千円ですが、「月々いくら」という課金になるので注意しましょう。

クラウドに大事なファイルを保管して危なくないの?

見知らぬサービスを使うときに一番不安なのは、安全性ですよね。わかります。わたしも最初はこわごわ使いました。
不安なのは2点あると思います。

ひとつは「信頼性」。

クラウドサービスが大きなトラブルを起こして、自分が預けたデータが消えてしまわないか。あるいはその会社がいきなりクラウドサービスを辞めちゃったりしないか。

基本的にはどのサービスもしっかり管理していてバックアップも取っていますが、こればかりはいつ何が起きるか分からないので、厳密に「ゼロ」とはいえません。

でも、自宅のパソコンがいきなり壊れる、トラブルが起きてデータが失われる確率に比べれば小さいかと思います。
不安なうちは「まずはバックアップとして使ってみる」のがいいでしょう。手元のパソコンとクラウド上の両方においておけば片方に何かあっても安心です。

ある程度実績がある会社のサービスだと安心かも。

もうひとつは「安全性」。

個人情報やクラウドに預けたデータが外部に漏れてしまわないか、です。
実はクラウド上に保存された重要な名簿が漏れてしまった事件がありましたが、あれは保存したファイルが「一般公開」になっていたためでした。どんなサービスであれ、利用者側も運用は慎重にしなければなりません。

この世界「何らかの形でトラブルに出会う確率がゼロである」ということはないので軽々しいことはいえませんが、心配するほどのリスクはないでしょう。

もしあなたが、非常に重要な企業秘密を握っていてその機密データを盗むべくサイバー攻撃をしかけてきた……というようなスリルとサスペンスな展開が待っていれば話は別でしょうが、一般的には、フリーのWi-Fiなど通信を傍受される可能性があるところでは使わない、IDとパスワードはしっかり保護する、可能なら2段階認証を使ってよりセキュリティを強くする、アプリやOSは常に最新版にアップデートする、セキュリティソフトを入れておくなど、するべき対策をしていれば問題はないかと思います。

クラウドというと難しそうですが、昔のように「自分のデータは自分のパソコンに入れておく」という時代ではなくなってきました。特に同じデータにパソコンからでもスマートフォンからでもアクセスしたい、スマートフォンやパソコンを落としたり壊したりしてもデータは失いたくない、という時代にクラウドサービスはマッチしているのです。

まずは無料のものから少しずつ使ってみるのがオススメです。

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(※本記事の内容は2018年1月17日時点の情報です)

荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。