「電子マネー」って危なくないでしょうか?

パソコン・インターネットお悩み相談室

第51回 Q.「電子マネー」って危なくないでしょうか?

最近、スマートフォンで使える電子マネーのニュースを耳にすることが増えてきました。今、小銭やクレジットカード、プリペイドカードを使っていて特に不便は感じていないのですが、スマートフォンの方が便利でしょうか?

現金になれてしまって、スマートフォンをかざして買い物をする、ということにちょっと抵抗があるのですが、危なくないでしょうか?

A.危なくないどころか財布より安心かも

電子マネーといきなりいわれてもピンと来ませんよね。実際、「電子マネー」という言葉もあまりに幅広く使われていて、より想像しづらくなっています。

ここでは話をすごくシンプルにしましょう。我々に一番身近なもののみを扱います。
それは「スマートフォンをかざすだけで買い物ができる電子マネー」です。
なぜそんなことができるのでしょう?

簡単にいえば、電子マネーとして使える「カード」の機能をスマートフォンが持っているからです。電子マネーとして使えるカード(たとえばJR東日本のSuicaやセブンイレブンなどで使えるnanacoカード)は、カードの形をしているだけで、実際に電子マネーとして働いているのは「カードに内蔵されている電子回路+超薄型アンテナ」です。リーダーと無線でやりとりしているんですね。
その電子回路と同じものがスマートフォンに組み込まれています。

スマートフォンに組み込むことによって「1台のスマートフォンに複数のカードを登録できるので、カードを何枚も持たなくていい」「プリペイドカードの場合、チャージがスマートフォンだけでできる」などのメリットがあります。

実際には、あらかじめチャージしておいた金額を使える「プリペイド」(先払い)タイプと、支払いをしたらその金額だけあとから請求される「ポストペイ」(後払い)タイプがあります。後払いというとちょっと怖そうですが、要するに「クレジットカード」の電子版だと思ってください。
スマートフォンにプリペイドカードやクレジットカードの機能が入っているのですごく便利、ということです。

何が便利なのでしょう?

普段、コンビニやスーパー、食事といった小額の支払いは「現金」で、ちょっと大きめの買い物はクレジットカードで、と使い分けている人が多いかと思います。

スマートフォン+電子マネーが便利なのは前者の「小額の支払い」時。

レジでお金を払うとき、小銭を数えなくてすみます。たとえば、121円の買い物をするとき財布に小銭が120円しかなくて、千円札を出すとき、なんかくやしくないですか?

それは極端としても、細かい小銭を財布から探すのって意外に時間がかかるものです。電子マネーなら小銭の計算は不要です。金額を確認したら、リーダーにスマートフォンをかざすだけで済みます。時間も短縮できますし、硬貨や紙幣を数えたり出し入れする必要がありません。

電車に乗り降りするときもモバイルSuicaがあればスマートフォンをかざすだけですみます。

財布を出す必要がないのもメリット。いついくら使ったかも履歴として記録されますから、使ったお金の管理も簡単です。

わたしは可能な限り電子マネーを使っていますが、財布にいくらお金が入っているか細かく把握しなくて済むことや財布が小銭で膨らまないこと、ATMへ通う回数や一度におろす金額が減ったこと、そしてレジでの支払いにもたもたしなくて済むことが大きなメリットと感じています。

また、現金は財布を落としてしまえば失われますが(交番に届けてもらえれば戻ってきますがどうしてもタイムラグが発生します)、電子マネーなら手続きすれば止めることができます

お得感もあります。電子マネーを使うのに特別な手数料は必要ありません。その上、たいていの電子マネーは使うことで「ポイント」が貯まるので、それを電子マネーへのチャージに利用すればお得に使えます。

デメリットは、電子マネーを使える場所がコンビニや一部のスーパーなどに限られていることや、スマートフォンのバッテリー切れが心配なくらいでしょうか。

一般に、手軽に支払えてしまうのでつい無駄遣いしてしまう、といわれがちですが、それは人それぞれです。個人的には現金の方が「財布にまだいくらあるからこのくらいは使えるな」と思ってつい買ってしまうことが多くありましたし、電子マネーを使うようになって出費が増えたということはありません。

心配な方は「プリペイド型」電子マネーをメインに使うといいでしょう。「チャージ」して入金した分だけしか使えませんし、いつでも残高を数字で確認できます。

どのスマートフォンでも使えるの?

日本ではスマートフォンや携帯電話で使う電子マネーを、一般に「おサイフケータイ」と呼んでいます。それには「Felica」という規格に対応している必要があります。Androidの場合は裏面にこのアイコンが描かれていればOKです。

基本的に現在、NTTドコモやau、ソフトバンクから発売されているスマートフォンなら使えますが、iPhoneの場合は、iPhone 7以降の機種になります。

海外製のSIMフリースマホには未対応の製品がありますので注意が必要です。

「プリペイド型」電子マネーとは

もうちょっと具体的に見ていきましょう。

「プリペイド型」電子マネーは、あらかじめチャージしておいた金額だけ使うことができるもの。

現在のところ、スマートフォンに対応しているのは、JR東日本のモバイルSuica(iPhone/Android)、楽天edy(Androidのみ)、nanaco(Androidのみ)、モバイルWAON(Androidのみ)といったところでしょう。

それぞれ専用のアプリが用意されており、そこでチャージなどを行います。

iPhoneのSiucaアプリの画面

プリペイド型カードをスマートフォンで使うメリットは「チャージ」
プリペイド型カードはカードにお金をチャージするのに現金が必要です。現金不要で使えるのが便利な点なのに、チャージするときは現金が必要なわけです。

スマートフォンであれば、あらかじめクレジットカードを登録しておくことで、いつでも必要な金額を(上限はありますが)チャージできます
足りないかなと思ったらその場でチャージ。これはすこぶる便利です。
オートチャージ機能を使える電子マネーなら、一定金額より少なくなったとき自動的にチャージしてくれます。

コンビニエンスストアはもちろんのこと、最近では電子マネーに対応したスーパーも増えていますし、電子マネーを使える自動販売機もあります。
お店で使うときは、モバイルSuicaなら「スイカでお願いします」、nanacoなら「ナナコでお願いします」といえばOKです。

「ポストペイ型」電子マネーとは

「ポストペイ型」電子マネーは、要するに後払いですから、「クレジットカードの電子マネー版」と思えばいいでしょう。

チャージする必要が無く、残高を意識せずいつでも使え、クレジットカードに請求が来ます。
クレジットカードに比べて小額でも気兼ねなく使えること、カードそのものを出さなくてもいいことがメリット。使いすぎる可能性がデメリットでしょうか。

ちょっとややこしいのは、その仕組み。

現在、NTTドコモ系の「iD」(アイディー)とJCB系の「QUICPay」(クイックペイ)の2つのサービスがあり、それを経由して使います。
「iD」はNTTドコモのサービスなので、基本的にはドコモの端末で使えます。NTTドコモのdカードの他、三井住友カードなどiD対応のクレジットカードもあります。

QUICPayはJCB系のサービスでauやソフトバンクのスマートフォンでも使えます。こちらも対応するクレジットカードが必要です。
スマートフォンで買い物をするとき、iDやQUICPay経由でクレジットカードに請求がいく仕組みだからです。
手持ちのクレジットカードが対応していない場合は、別途用意する必要があります。このあたりがちょっとわかりづらいところです。

個別に説明すると長くなるので、iDを使いたい方はiDのホームページ、QUICPayを使いたい方はQUICPayのホームページをチェックしてください。

iPhoneの場合はSIMフリー機種でもどのキャリアの端末でも関係なく両方を使えます。Apple Payというアップル独自の仕組みを使い、対応するクレジットカードを登録すると、クレジットカード会社によってiDかQUICPayかどちらかで支払えるようになります。両方を使えるため、今のところiPhoneがもっとも多くのクレジットカードに対応しているといっていいでしょう。

iPhoneのApple Payの画面。クレジットカードを登録し、カード上に「Q」のロゴがあればQUICPayとして使える

プリペイド型に比べるとちょっとはじめるときの敷居は高くなりますが、コンビニエンスストアやスーパーなどに加えて飲食店でも対応する店が増えており、利便性は高くなっています。

支払時に「iDでお願いします」「QUICPayでお願いします」といえばOKです。

どこからはじめるのがお勧め?

興味はあるけど、どこから手をつけたらいいかよくわからないという人もいるでしょう。最初は不安だという人もいるでしょう。
その場合は、プリペイド型からはじめるのがお勧めです。

Android端末を利用しているなら、一番よく使うサービスからはじめるのがいいでしょう。
セブンイレブンやイトーヨーカドー系列のお店を使っているなら、nanaco。イオングループのお店をよく使うならwaonという感じです。

電車によく乗るならモバイルSuica(PASMOなど他の交通系ICカードとの互換性がありますから、JR東日本以外でも使えます)。駅以外でもコンビニでも使えます。

iPhoneの場合は2017年末現在モバイルSuicaのみとなりますが、iPhoneに限ってはJR東日本のビューカードを持っていなくても年会費がかからない(Androidの場合はビューカード以外は年会費がかかります)というメリットもあります。

ちょっとした買い物で小銭のやりとりが発生しないのはとても快適なものです。
個人的には、財布よりスマートフォンを取り出す方が速い、という人は電子マネーが向いているかと思います。

ぜひ試してみてください。

(※本記事の内容は2017年12月20日時点の情報です)

関連キーワード:

荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。