パソコンを買い換えたいのですが、旧い機種を手放す前にしておくべき事を教えてください

パソコン・インターネットお悩み相談室

第49回 Q.パソコンを買い換えたいのですが、旧い機種を手放す前にしておくべき事を教えてください

パソコンやスマートフォンの買い換えを考えています。

旧機種は処分したいのですが、パソコンはそのままリサイクルに出してしまって問題ないでしょうか?

スマートフォンは下取りに出すと新機種が安くなるのでそうしたいのですが、使っていたものもそのまま下取りに出してしまって大丈夫でしょうか?

A.手放す前に、必ず「データの削除」を行ってください。

パソコンの内蔵ストレージにはあなたが今まで使ったありとあらゆるデータ(受け取ったメールや撮った写真、もしかしたらパスワードも)が入っています。

パソコンを手放すときはそういう情報は確実に削除して、そのパソコンを手にした見知らぬ誰かがデータを手にすることがないようにしなければなりません。

スマートフォンも同様です。下取りに出すにしろ誰かに譲るにしろ、中身をきれいさっぱり消去してから手放すのが基本です。

パソコン編とスマートフォン編に分けてお答えしましょう。

パソコン編:Windows 10の場合

新しいパソコンに買い換えたとき、旧パソコンで使っていたデータの移行はすべて済んでいる、もう旧パソコンは完全に不要、という前提でお話ししましょう。

まずはアプリです。

アプリによっては、インストールしたパソコンでしか使えない、あるいは2台のパソコンにしかインストールできないなど、インストールに制限を持たせているものがあります。

そういうアプリを別のパソコンで使いたい場合は、手放す前にアンインストールをする、あるいは認証を解除するという手続きが必要になります。

アプリによって条件は異なるので一概にはいえませんが、たとえば、アップルのiTunesの場合、ひとつのアカウントにつき5台まで使うことができます。5台あれば普通は問題ありませんが、パソコンを買い換えるたびに1台とカウントされては困りますよね。

そういう条件のあるアプリの場合、手放す前に「認証の解除」をしておきましょう

iTunesの認証解除。これを行わないと、もう使わなくなったパソコンで認証可能台数をひとつ消費してしまいます。

Office 365 soloも2台までしかインストールできませんから、油断していると制限に引っかかってしまいますので、処分する前に「非アクティブ化」をしておく必要があります。

もしこの作業を忘れて旧パソコンを処分してしまっても、Webブラウザなどを使って別のパソコンから認証の解除や非アクティブ化は行えますが、手放す前にあらかじめ行っておく方が安心です。

次に行うのは内蔵ストレージのデータやインストールしたアプリを削除して、パソコンを「まっさらな」状態にすること。まだ誰も使っていない購入時の状態に戻す、ということです。

幸いなことにWindows 10は標準で、パソコンを手放すときのためのデータ消去機能を装備していますから、それを使いましょう。

やりかたは簡単。
Windowsの設定から「更新とセキュリティ」を選びます。

Windowsの設定を開いたら、右下にある「更新とセキュリティ」を開きます。

更新とセキュリティから「回復」を選びます。
これはパソコンを初期状態に「回復する」という意味。

「このPCを初期状態に戻す」を選びましょう。

更新とセキュリティの中に「回復」がありますからそれをクリックし「このPCを初期状態に戻す」を「開始」しましょう。

すると「オプションを選んでください」という画面になります。

もちろん「すべて削除する」を選びます。そうすると今までWindows 10で作ったり保存したファイルやインストールしたアプリや各種設定をすべて削除して、まっさらな状態にしてくれます。

少々ドキドキしますが(これを行うとデータはすべて消えてしまいますから)、指示に従って進めましょう。

「すべて削除する」を選択。
「ドライブのクリーニング」を実行しましょう。

ドライブのクリーニングが重要です。

なぜでしょう。

一般的な「ファイルの削除」では、ファイル本体は消えません

大雑把にいうと、ストレージはファイル本体の他に、「ファイルはストレージ上のどこにどういう名前で記録されているか」という情報と「ストレージ上のここはファイルが記録してあるから使ってはだめ、ここは使ってもOK」という情報を持っています。

 
「土地」で考えると、「土地のどの区画とどの区画は誰の持ち物ですよ」という台帳と、「どこが空き地でどこが使われている土地か」という台帳があって、それで広大なストレージを管理しているわけです。

先ほどの画面で「ファイルの削除のみを行う」を実行した場合、その「台帳」だけがクリアされて、ファイル本体は消えません。「土地」に例えれば、建物などは残したまま売りに出しているというニュアンスです。そこは台帳的には「空き地」ですから、いずれ他のファイルによって上書きされて元のデータは消えますが、それまでは放置されていると思ってください。実用上はそれでは問題ないのです。

ファイル情報は削除されるが、ファイルの本体は残ったまま。

でもそのままではファイル本体のデータは残っているわけですから、専用のソフト(データ復旧ソフト)があれば中身を復活させることができます。今回のように旧機種を手放す場合、もし悪意のある人の手に渡ってそれをやられちゃったら困りますよね。個人情報が残っているかもしれませんし。

それに対して「ドライブのクリーニング」は、台帳を書き換えるのに加えて、土地を「更地」にしてくれます。方法はいろいろありますが、基本的にファイルの本体があった場所に無意味なデータを上書きして元のデータを復活できないようにしてくれます。

手放すときはこの作業をしておくのが鉄則。

処理時間はかかりますが、ファイル本体もしっかり削除されます。

(※図はいずれもイメージです。)

よって「ファイルを削除してドライブのクリーニングを実行する」を選びましょう。

そのかわり時間がかかるので、寝る前などに実行するといいでしょう。

これでパソコンを下取りに出すなり中古パソコンとして売るなりリサイクルに出すなりしてOKです。

ですが、実は、ドライブ上のデータを復活不能なまでに消去するには強度(つまり復活させられる可能性の低さ)によってレベルがあります。

もっとも単純なものは、「すべてをゼロで上書きする」方法。続いて「ランダムにデータを書き込む」方法、さらに複数回データを上書きすることで、磁気的な痕跡をより弱くする方法(ハードディスクの場合)。

米国防省の方式では、規定された方法で3回上書きすることが求められています。

国家機密を保存していない限りそこまで厳密に考える必要はありませんが(一度でも何らかのデータで上書きすれば、データ復旧ソフトでの復活は不可能で、専門的な装置が必要になるでしょう)、Windows 10の「ドライブのクリーニング」がどのレベルでクリーニングしているかは明示されていないので心配かもしれません。

そこでより安全な方法も紹介しましょう。

パソコン編:リカバリーディスクがある場合

内蔵ストレージ上のデータを完全に消去するには、外付けのストレージから起動する必要があります。そうすると容赦なくストレージの完全消去が可能です。

ブランドもののパソコンの場合、そのための起動用ディスク(DVDなど)が付属しています。あるいは、新たにリカバリー用のメディア(DVDやUSBメモリ)を作るアプリが付属します。

この辺はメーカーによって違いがあるので、自分のパソコンのホームページをチェックしましょう。

Windows 8以前のバージョンを使っている人も同様です。

NECの場合は再セットアップディスクを使って起動し、専用の「NECリカバリーツール」からデータの完全消去が可能です。

NEC「パソコンの廃棄・譲渡時にハードディスクのデータを消去する方法」

富士通の場合も「ハードディスクデータ消去」ソフトが付属していますのでそれを使って完全消去できます。

富士通「ハードディスクのデータを完全に消去することはできますか。」

パソコン編:リカバリーディスクが付属しない場合

データの完全消去ソフトをメーカーが用意してくれていない場合や自作PCの場合は次の3つの方法があります。

市販ソフトを使う

複数のソフトがあります。何度も使うものではないので高価な物は不要です。起動用のリカバリーディスクを作成する機能とデータの完全消去機能を持っているものを選びましょう。

無料ソフトを使う

Windows標準機能で、コマンド・プロンプトを使ってハードディスクの完全消去する事ができます。が、コマンド・プロンプトは自分でキーボードからコマンドを入力しなければなりません。コマンド・プロンプトって何? という人には少々ハードルが高いかと思います。

ダウンロードで入手できる無料ソフトもあります。機能的には有料ソフトと変わりませんが、使い勝手的にある程度スキルのある人向きといえるでしょう。

ストレージを物理的に破壊する

極端な話、パソコン内のハードディスクを取りだし、分解し、中のディスクをハンマーで粉々にたたき割るなど物理的な破壊をしてしまえば安心です。パソコンを分解してハードディスクを取り出す必要がありますが、最近のパソコンは昔に比べて分解しづらくなっており、工具も必要です。慣れていない人が行うと手を怪我する危険もあります。

無理に物理的破壊を試みる必要は無いでしょう。

スマートフォン(iPhone)の場合

スマートフォンの場合も同様です。

必要なデータはすべて新機種に移し終わっている(LINEのデータやおサイフケータイのデータなども忘れずに)、という前提でお話ししましょう。

アップルのiPhoneの場合は次の2つの手順で行います。

画面はiOS11のものですが、iOS10.3以降でも同様です。

1) iCloudからサインアウトします
iPhoneは原則として、Apple IDを使い、アップルのクラウドサービス「iCloud」にログインした状態で使っています。まず、そこからサインアウトします。

2)データを消去します
続いてiPhone内のデータを消去しましょう。

これでOK。下取りに出したり売ったり誰かに譲渡する場合はかならずこの手順で消去しましょう。

スマートフォン(Android)の場合

Android機の場合も同様です。Androidのバージョンや機種によって画面デザインやメニューの内容は異なりますが、基本的にはこの手順でOKです。

リセットするとスマートフォンが再起動し、何の設定もしていない状態で立ち上がります。それを確認したら電源を切りましょう。これで完了です。

パソコンもスマートフォンも自分の手から離れる前には、中に入っているデータやアプリはすべて消去しておくのは鉄則

それを行ってから安心して処分しましょう。

(※本記事の内容は2017年10月18日時点の情報です)

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荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。