格安SIMのスマートフォンに移行したいと思います。簡単にできますか?

パソコン・インターネットお悩み相談室

第43回 Q.格安SIMのスマートフォンに移行したいと思います。簡単にできますか?

今まで使っていたスマートフォンを格安SIMに移行したいと思います。電話番号をそのまま移行するMNPというサービスを使うのですが、そのとき、今まで使っていたアドレス帳や今まで撮った写真やアプリはどうなるのでしょう?

うまく移行できますでしょうか?

A.キャリアメールとLINEに気をつければ大丈夫です

スマートフォンにはiPhoneとAndroidの2種類ありますが、今回は、大手キャリア(au・NTTドコモ・ソフトバンクの3社を指します)のAndroid機から、格安SIM(つなぐモバイルなど)のAndroid機へ移行するという話をします。

Android機はすべて「Googleが開発した」Androidというシステムで動作しています。ソニーの端末もシャープの端末もサムスンの端末もその他すべてそうです。

そしてGoogleが行っている様々なサービスはすべて、Googleアカウントを通して行われますから、Googleのサービスに関しては移行時に何もする必要はありません。あとで細かく説明しましょう。

厄介なのは2つ。

ひとつはキャリア独自のサービスを使っていた場合です。携帯電話会社が変わるわけですから、携帯会社が独自で行っていたサービスは使えません
その最たるものが「メール」です。

もうひとつは、サードパーティ(つまり、Googleや携帯電話会社以外)のサービスを使っていた場合です。facebookやTwitterのやりとりはすべてインターネット上に残っていますから、新しい端末でログインしなおせばあっという間に今までと同じように使えます。しかし、LINEのように、端末移行の手続きが必要なアプリもあります

要注意ポイントを見ながら具体的に見ていきましょう。

スマートフォン自体は同じものをそのまま使い、通信会社だけを格安SIMに乗り換える場合(SIMカードだけ入れ替える場合)は「キャリアメール」のところだけ読めばOKです。

Googleアカウントの同期をしておくこと

AndroidはGoogleのサービスを使って成り立っています。あまり意識してないかもしれませんが、Googleアカウントを使って何を購入したか、Googleのメールサービス(Gmail)で送受信したメールや連絡先、Google Playミュージックで買った音楽、その他もろもろはすべてGoogleがその情報を持っています。

Googleが持っている情報は、あなたが新しい端末を購入しても、今まで使っていたGoogleアカウントを登録したとたん、可能な限り今まで使っていたスマートフォンと同じになるようセッティングしてくれます。とてもありがたいことです。

それにはGoogleアカウントの「同期」をしておく必要があります。「設定」のアカウントから「Google」を選び、同期しているかどうか確認しておきましょう。詳細を見ると、どんなデータが同期されているのかわかります。

「設定」の「アカウント」でGoogleを選びます。
Googleアカウントの画面。ここで一番上の「アカウント」(同期していますと表示されているところ)をタップすると、Googleアカウントで管理しているどんな情報が同期されるのかがわかります。
同期内容を見るとアプリのデータやGoogleカレンダー、Googleマップのマイマップ、他に連絡先やChromeのブックマークなどがインターネット上のクラウドストレージに保存されていることがわかります。

同期を行うと、様々なデータがネット上のストレージ(クラウド)に送られます。そして、別の端末で「同期」すると、クラウド上の様々なデータが今度は新しい端末に送られてきます

このおかげで、少なくともGoogleのいろんなサービスに関しては、通信会社を変えようがスマートフォンを買い換えようが、自動的に以前の環境をそのまま引き継げるのです。

また複数のスマートフォンやタブレットでひとつのアカウントを使うことで、連絡先やブラウザのブックマークを共用できるのです。

写真はGoogleフォトへ

撮った写真も、機種を変えるときに手間をかけて移す必要はありません。Googleフォトにバックアップを取っておけばOKです。

Googleフォトは無料版でも無制限に写真をバックアップしてくれるので非常に便利です(容量を節約するために写真を圧縮し直すが、実用上の問題はありません)。

「Googleフォト」アプリのメニュー。「設定」から「バックアップと同期」を選びます。
バックアップと同期画面。これをオンにすると自動的に写真がバックアップされます。そうすればスマートフォンを買い換えてもOK。バックアップするフォルダも選べます。

「フォト」アプリから「バックアップと同期」をオンにするだけです。すると撮影した写真が自動的に全部インターネット上のGoogleフォトにアップロードされます(もちろん非公開ですから他の人が勝手に見ることはできません)。
そうすれば新しい端末に買い換えても、フォトアプリを起動するだけで今まで撮った写真をいつでも見られますし、ダウンロードも簡単にできます。

古い端末で撮った写真をいつでも新しい端末で見られるというのは非常に便利です。

問題はアドレス帳の移行です

移行で一番厄介なのが、通信会社(キャリア)によるサービス。特にメールや電話で使われるアドレス帳(電話帳、連絡先)です。

これをGoogleの連絡先に統合しなければなりません。そうすれば、端末や通信会社を変えてもずっと同じアドレス帳(連絡先)を使い続けられます。
そこで、格安SIMに切り替える前に、連絡先を全部Googleの連絡先にまとめてしまいましょう。

まず、電話アプリを起動し「電話帳」を開いてみましょう。すると図のように相手先の右にアイコンが表示されます(auの場合)。

電話アプリを起動し、右上の「電話帳」をタップして開きます。
すると、電話帳の一覧が表示されます。10年以上前の携帯電話時代から引き継いできたアドレス帳です。名前の右にアイコンがついています。ここがGoogleアイコン(カラフルなもの)かそうじゃないかが重要です。

それぞれの右についているアイコンが「Google」になっていれば、すでにGoogleの連絡先と同期されています。そうじゃないアイコンはGoogleの連絡先に登録されていないので、これをなんとかすればいいわけです。

方法はいくつかありますが、簡単なのをひとつ。

この中で「本体に保存されている連絡先」だけをいったん、エクスポートして、Googleアカウントにインポートします。

電話帳のメニューから「ストレージへエクスポート」を選びます。
するとセキュリティキーを聞かれますので、設定したものを入れます。設定してない場合は初期設定になっています(キャリアごとに違うので説明書で確認のこと)。そしてエクスポートします。
エクスポートが終わったら、同じようにして「設定・管理」から「インポート」を選びます。すると登録先の選択画面になりますから、ここで「Googleアカウント」を選びます。

これでOK。そうすると、Googleの連絡先に全部統合されます。これで作業は終了です。

なお、今回の画面は「auの2014年夏モデルのスマートフォン」のものです。製品や発売時期によって異なりますので注意してください。

目的は「昔から使っていたアドレス帳をすべてGoogleアカウントに登録する」ことです。いったんGoogleの連絡先に登録してしまえば、あとはスマートフォンを買い換えても問題なく同じものが使えますし、パソコンからもタブレットからも使えます。

古くから使い続けている人はこのときにアドレス帳の整理もしちゃいましょう。

キャリアメールはどうする?

docomo.ne.jpやezweb.ne.jpといったキャリアのメールアドレスを持つ、いわゆる「キャリアメール」です。携帯電話時代は「Eメール」や「携帯メール」と呼ぶこともありましたが、つまりは携帯電話独自のメールサービスのことです。格安SIMに切り替えると、この「キャリアメール」がありません

キャリアメールをずっと使っていた人はいきなり使えないといわれても困るかも。その場合、どういうメールサービスに切り替えればいいでしょう。

一番のおすすめは、GoogleのGmailです。Googleのメールサービスですから、Androidと相性がよく、専用の「Gmailアプリ」も用意されています。

Googleアカウントを持っている人はみなGmailのアドレスもあるはずですから、Gmailアプリを使いましょう。「~~@gmail.com」というメールアドレスになります。

Gmailアプリの画面。人によって色分けされる、自動的にジャンルを分けてくれるなど見やすい工夫がいろいろと為されているので便利です。

キャリアメールがなくても不便なことはありませんが、注意すべき点が2つあります。

ひとつめは、携帯電話やスマートフォン用のサービスにキャリアメールのメールアドレスで登録していた場合。この場合は登録メールアドレスを忘れずに変更しておかねばなりません。

ふたつめは、携帯電話を使っている人とキャリアメールを使ってやりとりをしていた場合。携帯電話は「PCメールを受信拒否」しているケースがあります。その場合、メールのやりとりができなくなりますから、格安SIMに移行する前にキャリアメールを使って「これからはgmailになります。受信拒否の設定になっていたら、それを解除しておいてくださいね」と相手に連絡しておきましょう。

今、キャリアメールの代わりにGmailを使おうと書きましたが、キャリアメールならではのカジュアルなやりとりの感じってありますよね。互いに相手が携帯電話なのはわかっていますから、堅苦しい挨拶は抜きで、1行2行のメールを細かくやりとりしてコミュニケーションをとる感じです。

普通のメール(PCメール)ではなかなかカジュアルに使うのは難しいものです。
スマートフォンの世界でそういうカジュアルなやりとりを受け継いでいるのが「メッセンジャーアプリ」です。
今は、LINE、TwitterのDM(ダイレクトメール)機能、Facebookメッセンジャーがよく使われています。

LINEの移行は

上にあげた3つのメッセンジャーのうち、LINEだけは要注意です。TwitterやFacebookはアカウントさえ同じなら同時にいくつもの端末(スマートフォンやタブレットやパソコン)で使えますが、LINEは基本的に1台(+パソコン)だけ。

ですからスマートフォンを乗り換えるときは、あらかじめ、LINEアプリ上で移行手続きをしておきましょう。

LINEの設定画面です。ここに「アカウント引き継ぎ設定」があります。乗り換えるときはここで引き継ぎ設定が必要です。
「アカウントを引き継ぐ」をオンにします。そうすれば新しい端末でもそのまま使い続けられます。これを忘れるとトーク履歴が消えちゃうことに。

LINE以外に注意したいのは、おサイフケータイ。
これも機種を変えるときは移行の手続きが必要です。また、格安SIMでよく使われる海外製のSIMフリースマートフォンにはおサイフケータイ機能を持たないものが多いので、もし今までおサイフケータイを使っていたのなら、それも考慮にいれなければなりません。

新しいスマートフォンをセットアップしよう

準備ができたら、新しいスマートフォンのセットアップをしましょう。

今回は、ASUSのZenfone2という機種を使いました。機種によって画面のデザインは違いますが、作業の手順はほとんど同じです。

まっさらな状態で電源を入れると、最初に出てくるのは「ようこそ」画面。

ウェルカム画面です。ここで日本語を選んで次へ行きましょう。

ここで先へ進むと、インターネットへの接続設定画面となります。このとき自宅のWi-Fiアクセスポイントへ忘れずにつないでおくこと。最初のセットアップでインターネットからたくさんのデータをダウンロードするからです。モバイルネットワークでこれを行ってしまうと大量のパケットを使うので最初にWi-Fiへの接続は行いましょう。

この画面では「Wi-Fiのみ」が選択されていますが、みなさんが設定するときは「モバイルネットワークとWi-Fi」の方を選びます。モバイルネットワークは携帯電話の回線のこと。Wi-Fiのセッティングも忘れずに。そうしないと大量のパケットを使ってしまいます。

そしてGoogleアカウントを設定する画面になります。ここで、今まで使っていたアカウントをいれましょう。まちがって新しいアカウントを作成しないように。

ここでGoogleアカウントのメールアドレスを、次の画面でパスワードを入力してセットします。

そうしてログインすると、「アプリとデータを取得」という画面になります。ここで事前にバックアップしたデータから復元するのです。

「このバックアップから復元」ではGoogle側が持っているバックアップのリストを見ることができます。「SHL25」というのは機種名。以前使っていた端末ですから、これでOK。この画面でアプリの復元もできますが、不要なアプリもあるでしょうから(キャリアが提供しているアプリなど)、必要なものだけに絞り込むと良いでしょう。
復元完了。ちょっと時間はかかります。

このあと、今まで使っていたアプリのダウンロードがはじまります。数が多いと時間がかかるので慌てずに待ちましょう。

復元されたアプリです。必要なものを絞り込まずにダウンロードしたためau用のアプリも復元されてしまいましたが、LINE、Evernote、Swarm、QR Codeなど、以前の端末で使っていたアプリがこのように自動的に復活してくれます。これは便利です。
Gmailアプリを開くと、メールもしっかり復元されています。Gmailのシステムでは受け取ったメールはすべてネット上のサーバーに保管されているので、古いメールも読むことができるのです。

けっこう簡単なのがわかるかと思います。この手順は格安SIMに切り替えるときのみならず、端末変更や通信会社変更時にも有効です。

まとめますと、通信会社を移行するときもスマートフォン自体を買い換えるときも
「メールや写真などGoogleのサービスにまとめられるものはまとめてしまうと便利」
「Google以外のサービス(キャリアメールやLINEなど)はちゃんとチェックしておこう」
ということですね。

(※本記事の内容は2017年4月14日時点の情報です)

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荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。