スマートフォンは格安SIMにすると劇的に安いと聞いたのですが、格安でも大丈夫でしょうか?

パソコン・インターネットお悩み相談室

第42回 Q.スマートフォンは格安SIMにすると劇的に安いと聞いたのですが、格安でも大丈夫でしょうか?

スマートフォンにしたら今までの携帯電話(フィーチャーフォン)に比べて月々の支払額が約2倍になってしまいました。便利ですが、月々の支払額が予想以上にふくれあがっています。

そんなとき、格安SIMというのを使えば月々の通話料や通信料が劇的に安くなると聞きました。安いのはうれしいのですが、本当に安くなるのでしょうか? そもそも「格安SIM」というのは何でしょうか?

A.格安と聞くと、バーゲンセールでもしているようですが、単なる「俗称」なので心配いりません。

格安SIMとは3大キャリア(NTTdocomo、au、ソフトバンク)以外の会社が提供する通話・通信サービスを指します。

日本では携帯電話の回線網を自前で持っている会社は3大キャリアと呼ばれる3社だけです。それらの大手キャリアから通信回線を借りて行うサービスを「MVNO」(仮想移動体通信事業者)といいます。日本語でいわれてもよくわかりませんよね。MVNOという略語も覚える必要はありません。

あまりにもわかりにくいので、「大手キャリアに比べて格安で通信ができる」という意味で「格安SIM」という俗称が定着したのです。
そもそもSIMとはなんでしょう。なぜ格安と呼べるほど安くできるのでしょう。安さにつられて構わないのでしょうか?

その辺を見ていきます。

SIMとはなんでしょう?

そもそもSIMとはなんでしょう。

実は現在販売されているすべての通信端末(スマートフォンや携帯電話など)には「SIMカード」と呼ばれる小さなカードが入っています。

古いモノから最近のものまで様々なSIMカード。左上が古いタイプの大きなSIMカード。右上が小型化された「マイクロSIM」。右下が現在主流のさらに小さくなった「ナノSIM」です。左下はナノSIMをトレイに乗せたところ。非常に小さいので、多くの端末でこうしたトレイに置いて使います。

詳しく書くと難しいので簡単にすませると、SIMカードには回線の契約情報が書き込まれています
自分の電話番号は、スマートフォン自身ではなくて、そこに入っている小さなSIMカードに記録されていると思ってください。ですから、通信端末からSIMカードを抜いちゃうと、携帯回線を使えなくなります。

そのSIMカードを他の通信端末にセットすると、そちらで回線を使えるようになります。たとえば、スマートフォンを機種変更するとき、新しいスマートフォンにSIMカードを入れかえる必要があります。

わたしがiPhoneを買い換えたとき、ソフトバンクのSIMカードを左のiPhoneから右のiPhoneへ自分で入れ替えたところです。

われわれがスマートフォンなどの通信端末を購入するとき、回線の契約がなされたスマートフォンを買っているのではなく、スマートフォン本体+回線契約されたSIMカードを買っているのです。

格安SIMとはなんでしょう?

今までは無意識にNTTdocomoやauといった大手キャリアのSIMカードを使っていたことになります。

それに対して、もっと安い回線契約が可能な新しい通信事業者が登場しました。そういった事業者のSIMカードを「格安SIM」と呼んでいます。

低価格な回線事業者が登場した当初は、ユーザーは回線契約をしてSIMカードだけを受取り、自前で用意したスマートフォンに自分でSIMカードをセットしていたので「格安で入手できるSIMカード」=「格安SIM」と呼ばれるようになったのです。

ではなぜ低価格なのでしょう?

理由はいくつか考えられます。

たとえば、大手キャリアは全国にショップを持っており、そこで顧客の相談に乗り、契約をし、スマートフォンを売り、顧客のサポートをし、という多くの業務を行っています。それには場所代も人件費も、販売するスマートフォンの在庫も必要で、多大なコストがかかります。

対して格安SIMの事業者は店舗を持ちません(持っていてもすごく少ない数です)。そこでコストが削減されます。

大手キャリアは独自サービスを多く展開しており、映像配信サービスやアプリのサービス、物販サービスなどを行っています。

格安SIMの事業者はそういうサービスを基本的には行っていません。

また、docomo.ne.jpなどのキャリアメールと呼ばれる独自のメールサービスは格安SIMでは使えません

大手の三大キャリアは自前で回線を持ち、必要に応じてアンテナをたて、基地局をメンテナンスし、とインフラの整備も必要です。

格安SIMの事業者はそういう大手キャリアから回線を借りて運用しています。そういう面でもコストは削減されています。

つまり、可能な限りコストをかけない代わりに、低価格な回線契約を実現しているのです。

格安SIMにするとどのくらい安くなるの?

ではどのくらい安くなるのでしょう?
契約内容によって金額は大きく変わるので、一例をあげてみます。

NTTドコモでスマートフォンを契約する場合を考えてみましょう。

月々のデータ通信料によって価格が変わるのでここは「月々5GB」で考えてみます。一般に「自宅では4G回線ではなくWi-Fiを使う。外出時は映像配信など大容量の通信は行わない」のであれば、1ヶ月あたり5GBも使えれば困らないでしょう。

その場合、「カケホーダイライトプランが1,700円。インターネット接続のためのspモードが300円。パケットパックが5GBで5,000円」。
全部足すと、7,000円になります。

NTTドコモのスマートフォン向けおすすめ料金プラン

「ひとりでご利用なら」を参考にします。パケットパックは20GBという大容量のものがお勧めになっていますが、条件を揃えるために5GBのパックを選ぶことにします。

5GBのパック(標準)ですと、5,000円になります。実際には、端末を購入した際の「月々サポート」で2年間は割引がはいるのでもうちょっと安くなります。

では、格安SIMの場合はいくらになるか。
現在、非常に多くの格安SIMを使った通信業者が登場していますが、その中から身近なところでピックアップしてみました。

e-mansion lifeで3/1にスタートした「つなぐモバイル」で比べてみましょう。
つなぐモバイルのお申込はこちら

「つなぐモバイル」のドコモプラン(NTTドコモの回線を使う格安SIMのプラン)でデュアルタイプ(データ通信+音声通話)の5GBを見ると、2,280円です。

実に、半分以下です。この差は何年も使い続けるととても大きなものになります。

一般に、音声通話がメインで非常にたくさん通話する人や、Wi-Fiを使わずに通信回線で映像配信をたくさん楽しむなど大容量のデータ通信を行う人なら価格差は縮まりますが、1通話あたり5分以内の通話が無料になるサービスなどを上手く活用すれば、格安SIMの方がずっと安い、と思っていいでしょう。

格安SIMと大手キャリアの違いはどこにあるのでしょう?

一番気になるのはここですよね。使う側から見た、格安SIMと大手キャリアの違い。

基本的にはどちらも同じです。
格安SIMも実際にはNTTドコモやauの回線を利用しているわけですから。でも細かな違いはいろいろと出てきます。

購入時の違い

大手キャリアでスマートフォンを購入すると、手続きや初期設定をすべてお店でやってくれ、すぐ使える状態で受け渡されます。受け取ったらすぐに使えます。しかもお店も全国津々浦々にありますから、お店に駆け込めば購入してすぐ使えます。

格安SIMの事業者からスマートフォンを購入すると、ほとんどの場合、宅配便で「スマートフォン」と「SIM」がそれぞれ送られてくるので、自分でSIMを端末にセットし、自分で初期設定をやらなければなりません

作業自体はすごく簡単で、いざやってみるとあっさり終わるのですが、慣れない作業なのでSIMをセットして電源をいれてちゃんとつながるのが確認できるまでは「ものすごくドキドキ」します。今までお店にやってもらっていた作業を自分でやるわけですからね。

また、使い方がわからなくなったときや設定方法がわからないとき、大手キャリアですと購入したお店に駆け込んで教えて貰うことができますが、格安SIMの場合そこまで親切ではありません。
パソコンを使ってあれこれ調べて解決するか、有料のサポートになります。

そういうところに価格差が出ていると思ってよいかと思います。

アプリやメールの違い

iPhoneはどこで購入しても入っているアプリは基本的に同じですが、Androidの場合、Android標準アプリに加えて、端末メーカーが独自に用意したアプリ、キャリアが用意したアプリ(たとえばNTT Docomoならdマーケットやdメニューなど)が追加されています。

格安SIMの場合、「キャリアが用意したアプリ」に相当するものは入っていません
アプリがたくさん入っていすぎると、どれを使っていいか迷うことになりますから、むしろシンプルでよいという人もいます。
アプリはアプリストア(AndroidならGooglePlay)で入手できますから特に問題はないでしょう。

メールの違いは知っておく方がよいでしょう。
大手キャリアは「キャリアメール」と呼ばれるメールシステムを持っています。これは携帯電話時代の名残。docomo.ne.jpやezweb.ne.jpなどの携帯電話会社の携帯電話用メールです。

格安SIMにはキャリアメールがありません。メールは携帯電話時代の言い方をすると、すべて「PCメール」となります。インターネットの通常のメールを使います。
iPhoneの場合は、利用するのにApple IDが必要となり、Appleのメールアドレスを自動的に取得できます。
Androidの場合は、Googleのアカウントが必要になり、Googleの無料メールサービスGmailを取得できます。

GmailはiPhoneでもパソコンでも使えますから、「Gmail」を取得してそれを使うのがよいでしょう。

世の中の流れとして、スマートフォンユーザーが増えるに従って、キャリアメールは使われなくなりつつあります。PCメールであればキャリアを変えても機種を変えてもパソコンでもスマートフォンでも共通して使えて便利だからです。

また、メール以外の連絡手段(LINEやFacebookメッセンジャー、TwitterのDM機能など)が発達しており、簡単なやりとりならそれらを使うことも多くなりました。
将来を考えると、キャリアメールが使えないのはデメリットではないのです。
ただキャリアメールを使って登録したサービスがありましたら、そちらのメールアドレスを変更しておく必要があります。

回線品質の違い

格安SIMも結局はNTTドコモやauの回線を利用しているので、利用できる範囲は大手キャリアと同じです。格安SIMにすると圏外が増えるということはありません。そこはご安心ください。

ですが、価格が安い分、ランチタイムのオフィス街、朝や夕刻の通勤ラッシュ時など利用者が集中する時間帯では、大手キャリアに比べて回線速度が遅くなる傾向にあります。

どのくらい影響があるかはケースバイケースなので一概にはいえませんが、仕事で大容量のデータをやりとりしたいなど常に高速な回線が必要でしたら、大手キャリアの方が有利です。

どういう人が格安SIMに向いている?

慣れるまでは多少不便さはあるし、何かあったら自力で解決しなければならないことが多いし、回線速度が遅くなることがあるけれども、それでも格安SIMに切り替える人が増えているのは、月々数千円の価格差が大きいからです。

格安SIMの方が月々のデータ通信容量を細かく指定できることが多いので、家にいるときや家庭のWi-Fi回線を使ってパケットの節約をするなど賢く使うなら大きな価格差を実感できるでしょう

1年で何万円もの差になりますから、それを考えたら多少自分で勉強したり調べたりする手間はたいしたことないと思いますし、自分で勉強したことは身につきますからよりスマートフォンを使いこなせるようになるでしょう。

逆に、どうしても機械は苦手でよくわからない、調べたりする手間暇を惜しみたい(あるいは近くに教えてくれる人がいない)のなら、サポートが充実している大手キャリアに頼るのもいいでしょう。そこは各自で判断をしなければならない点です。

来月は、具体的な格安SIMサービスを例に、実際に必要な手続きやデータの移行などを見ていく実践編としましょう。

(※本記事の内容は2017年3月13日時点の情報です)

ひとことアンケートにご協力ください!

荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。