カメラ用語が難しくてわかりません。特に「露出」ってなんでしょう?

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第29回 Q.カメラ用語が難しくてわかりません。
特に「露出」ってなんでしょう?

写真が好きでカメラを買ったのですが、カメラ用語が難しくて結局オートで撮っています。できれば自分で設定して撮ってみたいのですが専門的なカメラ用語や、どうセッティングしたらどうなるかがよくわかりません。

特に「露出」という言葉はさまざまなところで出てきますが、普段使わない言葉なのでどうもピンときません。教えてください。

A.簡単にいえば「イメージセンサーに光を当てること」を「露出」といいます。

「露出」はカメラにとって基本的な用語ですが取っつきにくいのが難点。そこで「露出」という言葉からいったん離れて、もうちょっと基本的な話をしましょう。そうすればなんとなく「露出」の意味やニュアンスが理解できるはずです。
 
しばしお付き合いください。

カメラの最初の仕事は「イメージセンサー」に適切な量の光を当てること

デジタルカメラはレンズを通って入ってきた「光」を「イメージセンサー」(日本語だと撮像素子。昔のフィルムの役割です)に当てるのが最初の仕事です。イメージセンサーは「光」を受け取るとそれを電気信号に変換し、カメラ内の画像処理回路がそれを元に画像を作り出すからです。

レンズ交換式カメラのレンズを外したところです。中央に見える四角い部品がイメージセンサー。ここに1000万以上の画素がびっしり並んでおり、光を電気に変換します。一般的な一眼レフはこのサイズで、コンパクトデジカメはこれよりずっと小さなセンサーを搭載しています。

大事なのは、イメージセンサーに当てる光の量が多くても少なくてもきれいには撮れないということです。当てる光が多すぎると採れる写真は真っ白になっちゃいますし、逆に少なすぎると暗くなっちゃいます。

当てる光が多すぎるとこのように真っ白に撮れてしまいます。
当てる光の量が足りないと真っ暗になってしまいます。
ほどよい光の量を当てるのが重要です。

適正な光の量を当てるために、カメラは2つの要素で光をコントロールします。

ひとつは「光を当てる時間」です。イメージセンサーの前に「シャッター」と呼ばれる光を遮る幕があり、それを開いたり閉じたりして当てる時間をコントロールします。光が少ない場所(暗い場所)では長い時間シャッターを開きます。逆に明るい場所では一瞬シャッターを開くだけで十分な光を得られます。

このシャッターを開いている時間を「シャッタースピード」といいます。

もうひとつは「一度に光を当てる量」です。

レンズを「カメラに光を通すための穴」だと思って見て下さい。穴が大きければ一度にたくさんの光を取り込めます。逆に小さければ一度に入る光は少なくなります。この光の量を調節する仕組みを「絞り」といい、その穴の大きさを「絞り値」と呼びます。

レンズの中心を見て下さい。穴の大きさが変わっているのがわかるかと思います。これが「絞り」で、センサーに当てる光の量を穴の大きさでコントロールします。

カメラは「シャッタースピード」と「絞り値」をコントロールして、適正な量の光が当たるようにしているわけですね。この両者の組み合わせで光を当てることを「露出」と呼んでいます

光の量がちょうどよければ「適正露出」。少なくて暗い写真になってしまえば「露出アンダー」です。なんとなくニュアンスはわかってもらえたでしょうか。

なお、ほとんどのカメラはオートモードを持っており、オートにしておけばシャッタースピードと絞り値の組み合わせをカメラが自動的に判断してくれます。

「露出補正」を有効に使いましょう

今のカメラは「自動露出」が基本ですから、マニュアル露出モード(撮影モードダイヤルにMと書いてあります)時以外はカメラ任せでOKです。

でも、カメラ側の判断と撮る人の希望が一致しないことがあります。

そこでカメラ側の判断に対して、「もうちょっと明るくして」あるいは「もうちょっと暗めに」と指示するのが「露出補正」です。カメラによっては専用のダイヤルも備えています。

右端にあるプラスとマイナスのあるダイヤルが「露出補正」ダイヤルです。

専用のダイヤルがない場合は、ボタンとの組み合わせや十字キーで操作します。どのカメラにもついている機能です。

プラスの補正をするとその分明るく、マイナスの補正をするとその分暗くなります。コンパクトデジカメやミラーレス一眼の場合はモニターを見ながら調整すればいいでしょう。1枚撮ってみて、その結果をみて調整して撮り直してもOKです。

結果がすぐわかるデジカメの良さを生かしましょう。

紅葉を撮ったら、暗い背景もきれいに撮れるようにカメラが判断したため、明るく撮れました。
でも、もっとしっとりした紅葉を撮りたかったため、マイナスの補正をして撮り直しました。
背景が雪のため、カメラが背景が明るくなりすぎないよう暗めに撮ってしまいました。
そこでプラスの補正をして撮り直しました。

露出補正は背景とメインの被写体の明暗差が大きいときに特に有効です。

シャッタースピードを知りましょう

シャッタースピードは晴天下など明るい場所では速く、逆に暗い場所では遅くすることで、必要な明るさを調整します。

シャッタースピードは数字で表示されますが、機種によって「1/80秒」を「80」と表記するので注意が必要です。

画面下に「5.6 80」と数字が表示されています。この「80」がシャッタースピードで1/80秒を指します。
カメラによってはこのように1/60秒とそのままの値を表示します。

普段はカメラ任せでOKですが、撮りたい写真によっては自分でシャッタースピードを調節します。

スポーツのように動きが速いものを撮るときは、シャッタースピードを1/500秒や1/1000秒という速さにセットしますし、逆に花火のように軌跡を残したいときは2秒や4秒という遅い速度にセットします。ペットや子供を撮るときも速めにするとよいでしょう。

噴水を1/16000秒という超高速シャッターで撮ってみました。流れたり跳ねたりした水が、完全に止まって映ります。
流れる水をシャッタースピードをすごく遅くして撮ってみました。遅くして撮るときはカメラがブレないよう三脚が必須です。

絞り値を知りましょう

続いて、絞り値の話です。

シャッタースピードの場合、カメラ上の表記が「250」のときは「1/250秒」を指しました。
絞り値の場合は「F~~」と頭にFを付けて表記しますから、F値ともいいます。絞り値は「1」を基準として数字が小さいほど穴が小さく(暗く)なります

1枚目が「F8」、2枚目が「F16」にしたときの絞りです。F8に比べてF16は半径が1/2(面積は1/4)になっているのがわかります。

数字が大きい方が穴が小さくなるのは、実はこれも逆数で表しているからです。F16は1/16のことだと思って下さい。

絞り値はその値の取り方が少々ややこしいのですが、
 1→1.4→2→2.8→4→5.6→8→11→16
と変化していきます。頭にいれておくといいでしょう。

レンズの場合、絞りを一番開いた状態での絞り値を「開放絞り値」といいます。これ以上穴を大きくはできませんという意味。

穴が大きければ大きいほど「明るい」レンズとなりますから、シャッタースピードを速くできます。その代わり、レンズも大きく高価になりますから、そこは兼ね合いですね。

スマートフォンなど超小型のカメラの場合は絞りの大きさは固定です。

絞り値をこんなに細かく変えられる理由はなんでしょう。実は絞り値を変えることで、写りが大きく変わるんです。

絞りを「開く」ほどフォーカスの合う範囲が狭くなり、背景が大きくぼけます。逆に絞りを「絞る」ほどフォーカスの合う範囲が広くなり、全体にフォーカスが合います。

F1.8です。背景が大きくボケているのがわかります。
F4.0にしてみました。背景が少しくっきりしてきました。
F8.0まで絞ると背景がかなりしっかり写ります。
もうちょっと詳しく知りたい人のために

なぜこんな複雑な値になるのでしょう。

それには理由があります。実は1.4は「ルート2」のことなのです。

絞りは「円形」です。中学の数学ですが、円の面積を2倍にするには、半径をルート2倍にします。円の面積を半分にするには「1/ルート2」となるわけで、ルート2は「1.4142……」ですから、略して「1.4」となるわけです。

「穴の面積が半分ずつ、あるいは2倍ずつ変化する」ために、そういう値になっているわけです。

光が足りないときはISO感度でコントロールしましょう

カメラに入る光(露出)はシャッタースピードと絞りでコントロールできるという話をしました。

一番明るくしたときの絞り値はカメラ(正確にはレンズ)によって決まっています。暗い場所では開放絞りにしてもシャッタースピードを落とさざるを得なくなります。

でもシャッタースピードを落とすと、手ぶれしやすくなるので気軽に撮れなくなってしまいます。

対策がひとつあります。

イメージセンサーの感度を上げてやるのです。センサーの光に対する感度を2倍にできれば、必要な光の量は半分になりますから、その分シャッタースピードを速くできます。

そのときの感度を「ISO感度」といいます。デジタルになる前、カメラ用フィルムの感度の規格(ISOという国際標準化機構が制定したので、ISO感度と呼んでいました)をそのまま使っています。

ISO100を基準にして、2倍にするとISO200、4倍にするとISO400、と考えればよいでしょう。

ただ、電気的な処理で感度を上げていますから、ISO感度を上げれば上げるほど画質は劣化していきます。具体的にはノイズが増えて細部がつぶれてしまいます。

同じ写真を、ISO3200(左)とISO80(右)で撮ってみました。感度を上げたISO3200の方は細部がつぶれ、全体にざらっとして、発色も悪くなり、画質が落ちているのがわかります。

一眼レフやミラーレス一眼はイメージセンサーの感度に余裕がありますから多少上げてもOKですが、イメージセンサーが小さなコンパクトデジカメでは上げすぎないようにしましょう。

ISOオートにセットしておくとカメラの方で自動的に調整してくれますから問題ありませんが、シャッタースピードが遅くなってもいいので高画質な写真を撮りたいとき(三脚を使って夜景を撮る)など、必要に応じて手動に切り替えます。

カメラ用語は慣れないとピンとこないかもしれませんが、「シャッタースピード」と「絞り」プラス「ISO感度」の3つの組み合わせで当てる光の量をコントロールしており、それを「露出」という、と思えばOKでしょう。

(※本記事の内容は2016年1月29日時点の情報です)

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荻窪 圭 プロフィール
1980年代にパソコン雑誌のライターとしてデビューした老舗のIT系ライター。趣味が嵩じて、「古道研究家」や「猫写真家」と呼ばれることもある。最近はデジタルカメラやスマートフォンを中心に活動しておりデジタルカメラ評論家としての側面が強いが、かつては入門記事を多く手がけるパソコンライターとして、「ASAHIパソコン」「特選街」をはじめとする無数のパソコン誌・一般誌に執筆していた。